アンのフリークの皆さんには、もしかして常識?なことお聞きしてもよろしいですか?
シリーズ第四巻の『アンの幸福』、アンが下宿していたところは『柳風荘』と村岡花子さん訳ではなってるんですが、
金の星社の『赤毛のアンの宝石箱』では『風そよぐポプラ荘』になってて、
原書も(何版かは不明)、『アン・オブ・ウィンディ・ポプラーズ』になってるんですね。これってどう言うことなのでしょうか?
ウィンディ・ウィローズに愛着があるせいかとっても気になります。『楽しい川辺』(The wind in the willows)とかぶるからか?
などとひとりで考えても悶々として答えが出ません。どなたか教えて下さいませんか?
昨年5月のゲストブック過去ログから、みる姉さんの書込をお借りします。
"Anne of Windy Poplars"はアメリカ版であり、"Anne of Windy Willows"はイギリス版です。
オリジナルは後者で、両版には若干の記述の相違があります。
2つのバージョンが誕生した経緯については、次のようなモンゴメリ自身による説明がなされています。少し長くなりますけど、引用しますね。
「わたしは、この物語の原稿をハラップ社とニューヨークのストークス社に送りました。ストークス社の出版顧問は、アンが墓地を散歩するシーン(初めの1年の5)と、後にアンが<<トムギャロン館を訪問するシーン(3年目の10)とにでてくるエピソードのいくつかが、『あまりにも無気味』だから、削除したほうが良いと言ってきました。で、その意見に従って削除したわけです。(中略)わたし自身がつけた題は、『風そよぐ柳荘のアン』いうものでした。でもストークス社側は、この題ではすぐさまケネス・グレアムの動物童話『風そよぐ柳の木立』(日本語版の題は『たのしい川辺』石井桃子訳岩波書店刊。)を連想してしまうという考えでした(中略)。そんな考えは全くのこじつけにすぎないと思いましたが、柳のかわりに、ポプラにしたらどうでしょう、と提案いたしました。でも、ハラップ社側はこの意見をきっぱりと拒絶し、柳のままでいいと言い張りました。ハラップというところでは、英国人はポプラについてはほとんど何も知らないが、柳のことは知り尽くしている、というわけです!!それで一件落着。」(『モンゴメリ書簡集?T』ボルジャー/エパリー編、宮武潤三/宮武順子訳、篠崎書林刊。222頁、223頁より引用。)
確認はしておりませんが、日本語版では、WillowsとPoplarsのが入れ替わっているだけだと思います。
もともとモードの付けたタイトルは『ANNE OF WINDY WILLOWS』です。
しかし『楽しい川辺』(The wind in the willows)に似ていて紛らわしいとの理由でアメリカで出版されたものは『ポプラ』になり
ました。でもイギリスで出版されたものは『柳』に戻ってしまったんです。理由は「イギリス人はポプラについて、ほとんどなにも
知らないが、柳のことは知り尽くしている」という理由だったと思います。現在でもBamtam社とPUFFIN社のタイトルは『柳』と
『ポプラ』に分かれています。
ついでに出版当時『ポプラ』の方は「アンが墓地を散歩するシーン」と「トムギャロン館への訪問」に出てくるエピソードの一部が
「無気味なもの」という理由で削除されたそうです。
詳しくは「モンゴメリ書簡集」に載っています。
ちょっと補足します。
モンゴメリ自身は、「そんな考えは全くのこじつけにすぎない」と言っていますが、
実際のところ、その何年か前に、親しくしていたスコットランド人の友人から
グレアムの『楽しい川辺』(The Wind in the Willows) を贈られ、楽しんで読んだとも
言っておりますので、この本の題名から Windy Willows つまり「柳風荘」のイメージを
つかんだのは間違いないでしょう。
実際のサマーサイドには「幽霊小路」はありませんが、「柳小路」(Willow Avenue) は
あります。望楼のある家も二軒あります。
Anne of Windy Poplars は1942年にアメリカで映画化され、戦後の昭和23年に日本でも
公開されましたが、あまり話題にならなかったようです。
皆さん、ありがとうございます。やっぱりアンフリークにとって常識な質問だったようですね。でもすっきりしました。
それに、『楽しい川辺』の推理もあたらずしも遠からずってことで、あかっぱじではなくあおっぱじくらいですんで良かったです。
『楽しい川辺』はルーズベルト大統領もお気に入りの名作なので、アメリカ人にも愛着ぶかいのでしょう。
はじめまして、梶原ともうします。
http://www.asahi-net.or.jp/~FG5M-OGM/avonlea/differs.htm
小熊さんの上記ページにジョアンさんのエッセイがありますよ。
数ヶ月ぶりにこのコーナーにきてみたら、新しいお答えが・・・
貴重な情報ありがとうございました。
最近、「銀の森のパット」を読んでいるのですが、そのなかでパットと
ベッツが「楽しい川辺」を読んでいるシーンがでてきました(^^)
私も好きなこの本が、銀の森にも存在したなんて・・・とても嬉しく
思いました。